縦スライスのすすめ

この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2019の11日目の記事です。

10日目はY.Yさんの「ルービックキューブの思い出」でした。

12日目はルーメソさんの「Roux Methodのコツ」です。

 

 

はじめに

はじめまして、みーざと申します。

人生初の記事がアドカレとなりました。僕が参加してよかったのかわかりませんが、参加してしまったものは仕方がありません。拙い文章ですが、お読みいただければ幸いです。

この記事は5×5以上の多分割をリダクションで解けることを前提としています。まだ解けない方は、5x5x5 基本的な揃え方 | Cube Voyageなどでリダクションを軽く覚えてからこの記事を読むことをおすすめします。

内容としては、かなり基本的、初歩的なことしか書いていません。ある程度多分割に慣れている方にとっては「え、これだけ?」と感じられるかもしれませんので、なんというか、ごめんなさい。

こういうことをするのは初めてなので緊張していますが、頑張ります。

 

縦スライスとは?

縦スライスとは多分割のエッジペアリングをRw系、Lw系の回転を使って行うことです。通常のUw系の回転(以下横スライス)に対して縦方向の回転なので、そう呼んでます。

現状主流なのはご存知の通り横スライスです。かのMax ParkやFaz、Kevin Haysなどもみんな横スライスです。

ちなみに、4エッジだけ縦スライスという人は結構います。Kevinはそうです。でもまぁ、どうせなのでそっちのことも書こうと思います。

 

メリットとデメリット

メリット

少数派の縦スライスですが、それでも僕が使っているのにはそれなりの理由があります。 

 

  • 3Uw Uw' などが苦手な僕にとって、縦の回転は回しやすい
  • パリティを回す前の持ち替えがない
  • 8エッジから4エッジへスムーズに移行できる(4エッジも縦スライスの場合)
  • z2 が存在しない

 

大事なのは主に4つ目でしょう。他は個人差があったり大した短縮になるものではなかったりで、正直どうでもいいです。

z2 は横スライスではおなじみのあの動きです。かなり大振りだし、結構なロスになってるんじゃないでしょうか。この持ち替え中は先読みが厳しくなるのも痛いです。

デメリット

しかし一方で、欠点も当然あります。

 

  • 回転のtpsはおそらく横スライスより低い
  • 反転できるエッジがUFのみ
  • DF、DBが埋まることはない

 

1つ目のtpsは検証したわけでもないのでよくわかりません。なんとなくです。

2つ目は、横スライスではRF、LFのエッジを反転させることができるが、縦スライスではUFのみということです。横スライスで使う反転手順は R U R’ F R’ F’ R なので鏡手順も使うことができます。しかし縦スライスではUFを反転させるので、そんなことはできません。

ただ、横スライスでも右手でしか反転手順を回さない人はたくさんいるので、大したデメリットではないかもしれません。

問題は3つ目です。横スライスではD面を揃えたエッジで優先的に埋めることができましたが、縦スライスではそうはいきません。なぜなら揃えたエッジを入れていくのはR面とL面だからです。探していたパーツがDBとかに隠れていて見つけるのに10秒かかった、なんてのは(僕には)よくあることで、大問題です。

 

やりかた

7x7を用いて解説したいところですが、画像の出力が大変にめんどうなので5x5で妥協します。 

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センター

縦スライスの話には関係ないので、センターは適当に揃えておいてください。 

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8エッジ

ここからが本題です。

最も大事な手順が、UFの反転手順

 

U’ R U R’ F R’ F’

 

です。めっちゃ使うのでよく覚えましょう。

R U R’ F R’ F’ R の頭に U' がついて最後の R がなくなっただけなんですが。

今後は、手順内でこれが出てくる場合 [反転] と表記します。

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この手順では、L面のエッジは一切動きません。

 

ここではRU(F)系の回転を使うパターンのみを書きますが、もちろん左右反転した状態のパターンもあります。適宜脳内で変換してください。

 

次に、エッジを揃えるためのささやかな手順を紹介します。

 (手順と言っても暗記ではなく直感的に理解できるもので、またそうするべきです。)

 

① U' R U

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エッジの片割れ(パーツ1個の方)がB面にあるとき、つまり画像から R2 した状態のときは、2手目の R を R' にしてください。R2 で画像の状態に持ち込むなんてすると効率が悪いです。

 

② U R U'

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①と同じように、エッジの片割れがB面にあるときは2手目の R を R' にしてください。

 

③ R' F R F'

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これは、本質的には②と同じです。UBに入れるかわりにスレッジでUFに入れます。

最初の R' は 4Lw' 気味に回しましょう。

 

④ M' U2 M U2

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①〜③とは系統が異なりますが、よく使うので。

最後の U2 を忘れるとセンターが崩れちゃうので気を付けましょう。

 

⑤ M U2 M' U2

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④と同じような感じです。

 

④と⑤に関しては、 [反転] M/M' としても大差ないかもしれません。お好みでどうぞ。

 

主に使用する基本的な手順はこれくらいです。画像の枚数はそこそこ多いですが、似たようなことをやっているだけなのがわかるでしょう。

 

そして、揃えたエッジを逃すための手順です。 

 

⑥ U' R/R' U

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⑦ U R/R' U'

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どちらもセンターの向きが崩れないようにエッジを逃していますね。

この2つは、2手目を R とした場合上に書いた①、②と同じ動きです。何が言いたいかというと、エッジを揃えることと、揃えたエッジを逃すことは同時にできるということです。

エッジパートのタイムを左右するのは、3割くらいがこれです。残りの6割が先読みで1割はその他です。

 

2つ例を挙げましょう。

 

①&⑥ U' R U

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②&⑦ U R U'

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繰り返しになりますが、こういったことをできているかがエッジパートのタイムを大きく左右します。

 

8つのエッジが揃いました。

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4エッジ(L4E)

8エッジとほとんど同じように揃えますが、全ての面のセンターが揃っているため少々勝手が違います。

 

① Rw' [反転] Rw

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8エッジでも出てくる基本パターンです。どちらで出てきても全く同じように処理します。

 

② Rw [反転] Rw'

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8エッジでも出てくる基本パターンです。最初に Rw が必要な点で8エッジと異なります。

 

③ M' U2 M

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8エッジのときと同じですが、 センターはすでに揃っていてM列を回しても左右対象なので最後の U2 が必要なくなります。

 

④ M U2 M'

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③と同じです。

 

以上の4つを駆使して最後の4エッジを揃えていきます。ほかにも8エッジで揃えたエッジで既に埋まっているところを使うテクニックがありますが、横スライスでないと使い勝手が悪いので割愛します。

 

この記事はチュートリアルではないのですが、一応基本のパリティ手順だけ載せておきます。他のL2E手順は他をあたってください。 

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Rw U2 x Rw U2 Rw U2 Rw' U2 Lw U2 x' Lw' U2 Rw U2 Rw' U2 Rw'

途中の x' Lw' は 3Rw' として回しましょう。

 

これでエッジパートは終わりです。

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3×3パート

なるべく速く揃えましょう。

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おわりに

はじめて記事というのを書いてみましたが、いかがだったでしょうか。着手し始めたのが公開日の数日前で内容はぜんぜん詰め込めていないのですが、それでもおよそ4000文字、原稿用紙10枚ほどの文章量になりました。中学校の夏休みでは毎年ヒーヒー言いながら原稿用紙5枚の読書感想文を書いていたので、なんだか感慨深いです。あの頃の苦労は一体なんだったのでしょうか。

 

話は変わって、使用した画像についてです。

この記事の画像は全てVisualCube (v0.5.5)で作成しました。この記事を執筆する上で一番大変だったのが、実は画像の用意です。色をステッカーごとに指定していくのは結構つらかったです。そんなことをTwitterでぼやいていたら、

見かねたうえしゅうさんが瞬時にこんなツールを作ってくださいました。

VisualCubeEditor

ありがとうございます!

本来ならURLを自分でいじくって画像を作るのですが、このツールは大変便利でして、展開図を見ながらクリックで色を指定できるのです。

大変便利なので、皆さんも画像を作りたかったらぜひ使ってみてください。

ちなみにですが、この記事ではキューブ自体の透過などを含む画像が必要だったため残念ながらこのツールは使用しませんでした…

ごめんなさい!今後たくさん使います!

 

こんなところでどうでしょうか。締まらないですね。

誤字や「こうした方がいい!」などあればお教えください。

キューブは楽しいので、これからもできればいろんな形で関わっていきたいです。また何かの記事を書けたらいいなあ。